脳梗塞リハビリぬまづのブログ
2025.02.03
臨床現場の責任
自費リハビリ(公的保険外サービス)の世界に飛び込み3年が経ちました。
利用者/家族の方々には、医療機関で働いていた時代と同様、まだまだ未熟な自身の介入を受け入れていただき、私自身を育てていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
車椅子を卒業され介護度が変わるまでに歩けるようになった方、
手指が伸びないながらも握ることと脱力(はなすこと)ができるようになった方、
自動車運転を再開され受診や買い物に行かれている方、
車いすではあるものの新幹線で外出する頻度が増えた方、
それぞれの利用者様の重要な場面に立ち会えて、一緒に悩み、壁を越え、時に意見を交わしながら、たまに喜ぶことができ、リハビリテーション・理学療法って難しいけどやりがいのある仕事だなと、再び感じることができました。
民間事業者が提供するサービスは、自称リハと言われており、警戒されたり、高額と指摘されることもありますが、自身の存在意義を強く感じることができた3年間でした。
新人の頃、脳卒中のリハビリテーションが理解できておらず、目の前の患者様に大変申し訳なく、情けないリハビリテーション・理学療法を提供しており、先輩やリハ医の先生方から、大変厳しく指導・教育していただきました。
それは、目の前の患者/家族のためであり、私自身の成長やキャリアにつながる経験でした。
医師の指示の下とは言え、そのオーダーを真に理解し、最終的に直接患者に関わる理学療法士の責任は重いです。
修行した時代があったからこそ、今のサービスの質を何とか担保していると言えます。
ハイレベルのリハビリテーションを知っているからこそ、今のレベルがまだまだのレベルと感じていますし、同窓会や学会などで恩師の先生方とお会いすると恥ずかしい思いがありながらも、今でも現場で利用者様と向き合っている事に誇りを持ち、最近では勇気を出してそのような場に足を運んでいます。
私がこれまで経験を積ませていただいた病院は、やはり普通ではなく、やはり全国有数の脳卒中のリハビリテーションに特化した病院でした。
臨床・教育・研究、業務時間内に患者様に理学療法を提供することはもちろん、それ以外の朝の時間に勉強会・手技の練習・研究ミーティング、夕方は症例検討会・ブレースクリニック(装具の検討会)・研究等、夜間にも研究・自己研鑽、そんな生活を送っていました。
振り返ってみると、一緒に働いてきた方々の真剣さ・情熱・覚悟・愛情を感じます。
一方、この3年間、リハビリテーション・理学療法の質の低下の話題が複数から耳に入り、何とも言えない、悔しく、悲しい気持ちになっています。
当初は、サービスの性質上、仕方のないことと受けとめていましたが、最近では質の低下が確信に変わっています。
リハビリテーション・理学療法の格差は非常に大きいです。
歩けるようになるかならないか、手が動くようになるかならないか、退院後に幸せな人生を送れるか送れないか、受けるリハビリテーション・理学療法によって、全く変わってしまいます。かわいそうなのは質の低いリハビリテーションを受けた患者/家族です。
今は、何となく理学療法士になってしまった者、何となくなく医療業界で働いている者が多いと聞きますが、医療提供者側の事情は、患者/家族には関係なく、何となく免許を取って、医療業界に入ったとしても、目の前の患者/家族にベストを尽くすのは医療提供者の責務でしょう。
保険内だとか保険外だとか、関係ないです。目の前の人の役に立てるか立てないかです。
業界は変わりますが、美容師は国家資格を取得しただけではスタイリストとしてお客様の髪を切ることはありません。
一人前のスタイリストになるために、アシスタントとして研鑽しながら経験を積みます。医師にも研修医の期間があり、複数の診療科・病院を経験しながら基礎をつくり、その後に専門性を高めていきます。研鑽せず、お客様・患者を担当するとどうなるか。答えは明白です。
しかし、理学療法士は、そのような研鑽は課せられません。理学療法士免許を取得した直後から患者を担当します。
若手の療法士が努力すればまだよいですが、その非常識さに気づかない場合もあるようです。
誰かが指導・教育しなければいけません。しかし、教育機関にしても、医療機関にしても、今はその指導・教育する側の質の低下も懸念されており、学生教育・若手教育も困難になったと聞いています。
リハビリテーション業界に何が起こっているのでしょうか。
診療報酬制度の中では、理学療法士の免許さえ持っていれば、誰でも同じ点数(お金)を取ることができます。知識・技術・経験・専門性を問わずです。
よって、人件費を安くできる若手を採用し、本質的な教育もせず、単位(お金)を取ることを第一目的として経営・管理している経営者・管理者もいるようです。
逆に経営者・管理者が学会参加費を確保しているにも関わらず、自己研鑽しない理学療法士もいると聞いています。
これはどういう事態でしょう。
サービスの本質を考えれば、利用者が求めたものを提供した結果としてお金をもらうことは、どんなサービスでも共通するはずです。
この3年間、医療機器メーカーの方・製薬メーカーの方・システムエンジニアの方・WEB制作会社の方・広告会社の方など、いわゆるリハビリテーション専門職以外の方々ともお仕事をさせていただきました。
皆様、本当に研鑽しており、知識や情報収集能力、仕事のスピードなど、驚かされる事が多々ありました。
自身の業界に目をやった時に医療・介護の業界は大丈夫だろうか、本当に心配になっています。
どんなに優れた医療機器・医薬品・サービス・ツール・情報があったとしても、最終的に患者/家族に届かなければ無意味です。
そういう意味でも、臨床現場で働く者の責任は重く、少なくとも目の前の患者/家族に最適なサービスが提供できているか、考え続けなければいけません。最低限、自身の専門とする業界の情報収集や自己研鑽は必須です。
ある日、大切な家族が脳卒中を発症したとします。どんな組織・人間に家族のリハビリテーションを任せたいと思いますか?
もちろん、専門性があって、経験があって、ノウハウがある、プロフェッショナルな組織や専門職に任せたいと思うはずです。
大前提として、脳卒中のリハビリテーションの必要性や責任の重さを理解し、情熱・覚悟を持ち、成長しようとしている人たちに人生を託したいと思うことは、当たり前のことでしょう。